日本財団 図書館


 

りませんでした。いま考えると。家族の争いが子供の成長の妨げになったと思います。
それでも学校の先生方は一生懸命に面倒をみてくれ、ありがたい気持ちでいっぱいでした。やがて勉は寄宿舎に入ったが、。寮母さんを困らせたこともあると思います。でも、いつも地を温かくみてくださいました。本当に感謝しています。
その後、岡部先生から、「通学させたらどうか」言われました。理由は、勉がある先生の胸に手を入れたので、親の愛情がなく寂しいからだろうということでした。私も通学する決心をし、朝五時に起きてともに頑張りました。そのころから、勉は溌剌としてきました。
中学生になってよく勉強するようになり、気持ちが落ちつきました。高校ではますますよくなって、親として子供が成長するのを、本当に嬉しく思いました。私が家族に何でも話をするようになってからは、勉が子供ながらに細かく見守ってくれました。
私は子供に、「ケジメのある生活、自分のことは自分でやる」ということを教えました。学生時代に勉と健は一緒に、北海道までバイクで旅行したり、南九州まで行きました。旅先での人と人との触れ合いがよいと思いました。
勉も、ろう学校の先生やみんなと仲よくやり、寮母さんにもお世話になり、私も勉強させてもらいました。私の苦労話しを聞いて涙を流してくれた人もおりました。
いま思えば祖母は、「耳が不自由だから世間の笑い者にされるのが嫌だ」と、勉を外へ出して遊ばせてくれなかったのです。でも先生方は、「どこへでも連れてあげなさい。見るものはみな勉強になる」と言われ、その通りにしてやりました。先生方にアドバイスを受け、本当にあり

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION